私の会社は企業年金なので、今は確定拠出年金の適用範囲外になります。
しかし、先日の法改正案可決によって、2017年からは個人型確定拠出年金(個人型DC)の適用範囲が広がることになりました。
拡大される範囲は企業年金のサラリーマンや公務員、専業主婦(夫)でして、私も個人型DCを使えるようになります。
これまでは使えないということでスルーしてきましたが、使えるのであれば勉強しておこう、ということでこの本を手に取りました。
本書はこれまで確定拠出年金についてほとんど知らなかった私でも要点を押さえて理解することができる良書でした。
以下、レビューです。
「ほぼ確実に儲かる」という謳い文句に騙されないための必読書
本書では、基本的な制度の説明、確定拠出年金による節税のメリット、地雷商品の避け方まで「教科書」と銘打っているだけある内容となっています。
これまで投資に触れたことのない方でも確定拠出年金をキッカケに投資を始める方がいらっしゃるかと思います。(節税の効果を含めて)「ほぼ確実に儲かる」といったワードに食いつく方も多いでしょう。
ただ、この「ほぼ確実に儲かる」というワードが先行してしまい、節税の話や地雷商品の避け方を知らなければ、儲けからは遠ざかってしまいます。
個人型DCの適用範囲が増えたことによって、証券会社等の顧客囲い込みは加速することが予想されます。
NISAのCMをよく見かけるようになったように、個人型DCのCMも来年あたりから増えてくるんじゃないでしょうか。
DC向け商品は通常の投資信託と比較すると、信託報酬が割安なものが多いですが、言われるがままにターゲットイヤー型やライフサイクルファンドとかを選んでしまうと知らず知らずのうちに高いコストを払うことになりかねません。
これは受け手のリテラシーの問題といえばそれまでなんですが、何も知らない状況で「海外の株価指数と連動します」ってファンドと「あなたのライフプランを考えた結果がこちらです!」ってファンドだったら、後者を選んじゃうのも仕方ない気もします。
また、バランスファンドって聞くとなんか無難な感じもしますから、選びがちなのも頷けます。
そのように選んだ結果が高コストな地雷ファンドとなってしまわないように、この教科書を読んで、明らかな地雷は避けることができるような判断力はつけておきたいものです。
外国株式インデックスファンドを買うかは自己判断
本書では、確定拠出年金の枠は外国株式インデックスファンドの購入を勧めています。
(資産運用全体としては、NISAでTOPIX連動ETFを推奨。詳細は読んでみてください。)
勧められるがままに外国株式インデックスファンドを買うのもまぁ悪くはないですが、せっかく地雷を避ける判断力をつけたわけですから、何故外国株式がオススメなのか考えるキッカケにしてみてはどうでしょう。
山崎氏は確かに金融屋さんサイドではなくユーザーサイドですが、直接対話をしていない以上はあくまで最大公約数なユーザー目線にはなってしまいます。
調べたり考えたりは確かに大変ですが、自分に向いているのか否か、納得できる投資先なのか否か、自己判断を下せるだけの調査や思慮は必要だと思います。
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