不定期で配信しているブロックチェーンゲームレポート。前回の8月分もあわせてお読みいただくと、変化が楽しめるかと。
垂水ケイ
9月、10月は国内でも大きな動きがありました。海外の動向も含めてまとめます。
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ブロックチェーンゲームの注目度推移
googleトレンドの結果です。「dapps」「crypto game」「blockchain game」の3ワードで検索してみています。
ここ数ヶ月は綺麗な横ばいですね。
「ブロックチェーンゲーム」などの日本語では、検索量が少ないため、トレンドが表示されません。
海外ではブロックチェーンゲーム関連のイベントが行われていたりしましたが、それくらいでは大きな影響はないようです。
日本のブロックチェーンゲーム動向
日本で注目のブロックチェーンゲーム:マイクリプトヒーローズ
検索トレンドとしての注目度は横ばいですが、日本では10月に入って、マイクリプトヒーローズが一気に話題になってきています。
マイクリプトヒーローズとは、DLEグループのdouble jump.tokyoが開発するブロックチェーンゲームです。プレセールの詳細は「マイクリプトヒーローズのプレセール開始!売れ行きは好調!」をご覧ください。
エアドロップも行われており、どれくらい注目度が高いかといいますと、250体のアセットが約1時間で完売してしまうほど。
1時間であっという間になくなった😲 https://t.co/jcoVcEPy0G
— Hikaru Nemoto(根本晃)@Blockchain Gamer/Africa/Rwanda (@dujtcr77) 2018年10月12日
マイクリプトヒーローズが注目される理由
- LOOMをサイドチェーンとして利用しており、gas代無料でバトルをプレイ可能
- 公式が積極的にエアドロップをしており、プレセールに参加しなくても楽しめる。
- プレセールで販売されたヒーローであっても、弱いヒーローを工夫すれば普通に倒せる、ナイスなゲームバランス。
これまでのブロックチェーンゲームと比べると、ゲームバランスやあまりお金をかけなくても遊べるゲーム設計に力を入れている点が評価されています。
一方で、期待されていたLOOMでもトランザクションの詰まりが発生しており、実際にやってみないとわからないこともたくさん出てきていそうです。
こういった新しい課題と常に向き合っていかなければいけないため、DLEのような運営母体があるかどうかは、開発継続の体力に直結しています。
今後新しいゲームのプレセールに参入するかどうかは、運営母体の体力が評価基準として重要になってきます。
ネガティブだがブロックチェーンゲームの認知度はアップ:クリプトスペルズの功罪
クリプトスペルズがプレセールを実施しましたが、ホームページに他のTCGのロゴを使用していたりするなどを指摘されて、ちょっと炎上しました。
結果としてプレセールは中止、返金という流れとなりました。
【ユーザー様への重要なお知らせ】
この度各所関係者様と議論を行い、全ユーザー様への全額のご返金と共に、
サービス内容及び運営体制の再検討を決定させていただきました。https://t.co/Ya4xtddtYr— CryptoSpells公式 (@crypto_spells) 2018年10月3日
再度復帰してきて欲しいですが、なかなか難しいかもしれませんね。
プレセールは残念な結果となりましたが、ブロックチェーンゲーマーを巻き込んだひと騒動でした。
これまでのプレセールといえば、完全にブロックチェーンゲーマー内だけでのイベントだったので、そこから一歩外へ出ることができたのは、ポジティブに捉えています。
ブロックチェーンゲーマーと一般ゲーマーとの認識・文化の違い
ブロックチェーンゲーマーからすると、ゲームが完成する前に開発資金調達のためにプレセールを行うこと自体は当たり前です。
でも、一般ゲーマーからすると
「なんでゲーム完成してないのにお金集めるの?」
という感覚が強いです。
これを運営側が忘れてしまうと、クリプトスペルズのようなことになる可能性があるわけです。
でもでも、わざわざブロックチェーンゲームをやるからには、プレセールでうまく仕込んで、ゲームがブレイクしてから高く売り抜けたいプレーヤーもいます。
「投資勢」と「ゲーマー勢」。このバランスをとっていくのは、今後一般ゲーマーにリーチしていきたいと考えているブロックチェーンゲームの課題になってきますね。
イーサエモンの土地システムのように、メインコンテンツとなるランクマッチと、投資要素の強い部分を切り分けるというのも一つの手ですね。
マイクリプトヒーローズにも領土(ランド)システムがあるので、ゲーム設計には期待しています。
ゲーム以外のdAppsも稼働:注目銘柄LINEの動向
ゲーム以外では、LINEが大きく動きました。独自のブロックチェーンを開発し、LINKという暗号資産を使ったトークンエコノミーの構築を提示しています。
詳しくは「LINEの暗号資産「LINK」とは?独自ブロックチェーンのトークンエコノミー構想を解説」をご覧ください。
既に暗号資産LINKがもらえるdAppsが稼働しており、一般ユーザーは暗号資産・dAppsという認識はなく「LINEの作ったアプリでポイントが稼げる」程度の認識で参加しています。
ブロックチェーンの影を感じさせないために、独自チェーンを構築してやっているあたり、さすがLINEといったところですね。
LINEのdAppsについては「LINEのブロックチェーンアプリ(dApps)紹介|暗号資産LINKを稼ごう!」を参考に遊んでみてください。
ブロックチェーンゲームメディアはほとんど増加せず
ブロックチェーンゲームの認知度が上がっていくためには、情報を発信するためのメディアも一つの要因かなと思っています。
メディア・SNSと賑わってきて欲しいんですが、冒頭で示したトレンドのようにメディアも横ばい傾向。
最近動き始めたアツいメディアは「ピプリクト」です。かわいいキャラクターが会話形式でゲームを紹介していくので、読んでて面白いしわかりやすいです。
ツイッターでも有用な情報発信されてるので、フォロー推奨です。
大手ゲームメディアのアルテマやgamewithの参入がありましたが、ブロックチェーンゲームの最新情報をフォローできるまでには至っておらず、取引所紹介記事ばかりだったりします。
まだ稼げる見込みがついていないという企業判断の結果なんでしょう。ディスっているわけではないです。
一方でアクセルマークのメディア「Blockchain Game Info」は積極的にライターを登用して最新情報を発信しています。開発中のブロックチェーンTCG「コントラクトサーヴァント」も期待大です。
海外のブロックチェーンゲーム動向
EOSのプロジェクトがちらほら、ただしほとんどギャンブル
ETHのスケーラビリティ問題を解決するために、EOSのプロジェクトが注目され始めてきています!
という話をちらほら聞くようになってきたので、実際に使ってみました。
確かに、トランザクション手数料は見かけ上無料で、処理速度は速いんですが、現状のdAppsはギャンブルばかりです。
EOS knightくらいしかゲームらしいゲームは知りません。
セキュリティの懸念もあるため、アセットの置き場にはせずに、再度チェインとして使用されていくのがいいのでは?と感じています。
アカウントを作るのもETHと比べてかなり煩雑ですし、何より有料です。
実際に触れていただけるとEOSって、言うほど万能じゃないのかも?と感じるかもしれません。煩雑なアカウント作成の流れは「EOSメインネットのアカウント作成からdAppsを使えるようになるまでの流れを徹底解説」にまとめてあります。
クリプトベースボールは良ゲーだった
最近の海外ゲームで一番話題になったのは「MLB クリプトベースボール」ではないでしょうか。
メジャーリーグと提携して、実際の選手のフィギュアがアセット化されていました。
野球の試合の結果を反映して、報酬が得られるかどうかが決まるため、ETHのトランザクション待ち時間などはほとんど気にならないゲーム設計でした。(サーバーが弱かったのはブロックチェーン側の問題ではない。)
「ETHの弱点はゲーム設計で克服できる」
これを堂々と示してくれた良ゲーです。
クリプトベースボールを開発しているLucidは、「CSC」「CrypticConjure」などの期待のゲームも開発しているんですが、日本を全く見てくれていないのが悲しいところ。
KickStarterなどのクラウドファンディングを利用した資金調達
一般ゲーマーへの認知度をアップさせるために、KickStarterを利用するゲームが出てきています。
ETH払いでは、暗号資産を持っているプレーヤーからしか資金を調達できませんが、クラウドファンディングを利用すればFiatで調達できます。開発運営の安定化にも有効です。
クラウドファンディングを利用したゲームは、「9LIVES」「ZombieBattleground」「HushRush」がありました。(HushRushのみIndieGoGo)
プレーヤーからしても、「ゲームのアセットを買う。買ったからには値上がりして欲しい。」という認識よりも「うまくいくかはわかない投資」という認識の方が強くなるはずなので、フェアな気がしますね。
まとめ
海外動向と日本を比べてみても、日本は遅れているどころかリードしているように感じます。
日本が最初に一般ゲーマーへとリーチしていくことになりそうなので、ブロックチェーンゲーマーとの認識・文化の違いに注意しつつ、「投資性」と「ゲーム性」の両立が可能なゲーム設計がなされたゲームが出てきて欲しいですね!
マイクリプトヒーローズが、その最初のゲームになってくれるんじゃないでしょうか。
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